こんばんは、月和菓子です。
暖かくなってきましたね。
早く出かけたい気分になりますが、
みなさんはご旅行はお好きでしょうか。
お月見が好きな店主の私としては、
お月見だけのために旅行に行ったりします。
日中の観光はそこそこに、
旅行のメインは夜のお月見。
午後になったくらいから、
早くもソワソワしてきます。笑
毎年中秋の名月の日、
お月見をしに私が一人旅で伺うのが、
京都の嵐山から更に奥に行ったところにある
『大覚寺』というお寺です。
『観月の夕べ』という名称で、
秋の行事として毎年開催されています。
境内はとても広いので、
早めに行ってお寺の中を見て回りながら、
ゆっくり日が暮れるのを待つのもおすすめです。
そして夕方から徐々に人が増え始め、
道の両サイドにはズラリと灯籠が並びます。
お寺の敷地内にある大きな池の前には、
お団子や野菜などのお供物が積み上げられ、
住職や巫女さんたちが出入りし、
観月の儀式の準備が始まります。
日が沈みだんだん青い世界に入る頃、
池に突き出した特別な場所で
お経が読み上げられ始めます。
池の先に目をやると、
大きな満月が昇ってきていますね。
京都独特の低くて丸い山に月。
地元で毎日のように月を見上げていたとしても、
ここで見る月は
今しか見られない景色なんだと、
一生懸命に見つめ心に焼き付けました。
いくら写真に収めても、
この場にある空気って残せないんですよね。
朝の空気や季節の匂いなどもそうですが、
保存できたらいいのになとよく思います。
そして月がだんだん高く昇り、
辺りもすっかり暗くなってきます。
すると先程の灯籠の灯りが
ぼうっと存在感を持ち始めるんですね。
また、境内には大きなお庭があり、
そこではお琴の演奏や歌が始まります。
池には龍頭の小舟が浮かび、
水面にはもう一つの月が映っています。
普段は入ることのできない夜のお寺。
薄暗い敷地内で松明と灯籠の灯り、
そして月明かりだけが浮かび上がり、
お経を読み上げる声と
お琴の音色が聴こえている状態です。
これがもう非現実のようで、
とてつもない臨場感と空気感なんです。
お月様の下、
知らない土地で
知らない人たちの中に自分一人。
思考を止め、
目を半分閉じてぼんやりと眺めいると、
ここが今いつの時代で
本当はどこにいるのかがわからなくなり、
時間軸が歪むような感覚になってきます。
京都への旅行だけでなく、
そこから更に別の時間と空間に来たような。
“幻想的”って、
きっとこういう感覚なんだろうな…
と感じた体験でした。
この感覚を味わう瞬間が大好きで、
毎年このお月見の為だけに
京都に行ってしまいます。
というわけで今回は、
月好きな私の特別なお月見場所を
ご紹介させていただきました。
月がそこまで好きでない人には、
「観光もせず、
それだけの為に京都まで行くんですか?」
と驚かれますが(笑)、
もしお月様が好きな方なら、是非一度。
自信を持っておすすめします。